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「えっと……ビールを」
私は目を泳がせながら答えた。
「食事、適当に頼むけどいい?」
「はい……」
西川課長は私がぼんやりと返事をすると、店員を呼びつけてテンポよく注文を終えた。
西川課長も私に合せたのかビールを頼み、先に二つのグラスがテーブルに届いた。
少し落とされた照明は、室内を暗くする代わりにビールのグラスを金色に輝かせていた。
西川課長が先にグラスを持って私を待っている。
私が彼の視線に促されるようにグラスを持ち上げると、
課長はグラスの向こうで微笑みながら私のグラスに自分のグラスを小さくぶつけた。
「乾杯」
私はまだ飲まないうちから
何かに酔ってしまいそうだった。
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