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彼の優しさが……
心地良かった。
こんな私でも、
こんな風に扱ってくれて、
こんな風に優しくしてくれる。
こんな風に……
想ってくれる。
私は小さなため息をついた。
もう……
終わりにしても、いいのかもしれない……
これが……
いいきっかけなのかもしれない。
「ひどいな。目の前でそんなため息ついて……」
本気でふてくされる課長を見て、笑みが零れる。
「すみません。課長……もう一杯、いただいてもいいですか?今夜は……少し、酔いたい気分です」
私の言葉に課長は一瞬動きを止めた。
「……ん、わかった」
課長が店員を呼ぶと、
私のバッグから
携帯の小さな振動が耳をかすめた。
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