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ため息をついたばかりなのに、
彼女のことを思い出して
クスリと笑った。
今度は思わず小さな息が漏れてしまった。
「……何、笑ってんすか?」
斜め向かいで青木くんはパソコンの画面を見つめたまま呟くように言った。
キーボードの音は途切れない。
「……ちょっと……森野さんのこと、思い出して」
私は一人で視線を左右に大きく振って言った。
すると、彼から意外な反応があった。
彼の席から……
私と同じようにクスリと小さく笑う息遣いが聞こえた。
「……確かに。彼女は笑える」
青木くんの打つキーボードの音が少し緩んだ。
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