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しばらく黙って作業を続けると、壁際のプリンターがうなりをあげて大量の紙を吐き出し始めた。
青木くんはそれをプリンターから取って来ると、
順番が狂わないように慎重にデスクにのせ、
数枚ずつまとめてホチキス留めを始めた。
カシャン、カシャンとホチキスの音が混じる中、
プリンターはまだ紙を吐き出し続けていた。
「……それって、何に使うの?」
思わず口が開いていた。
「明日の取引先会議の資料。現場からも人集めるとか言われて、何か大袈裟なことになっちまっていい迷惑なんだよ……」
「そんなこと言わないの。それだけ注目されてるってことじゃないの」
「人が多くなると、その分時間が掛かるんだよ。少人数でとっとと決めて欲しかったんだけど」
「そんなこと言っても始まらないわよ。後何部?私も手伝うわ」
私は席を立ってプリンターに向かった。
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