ねえ。それでも……

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二人だけの空間。 久しぶりの穏やかな会話。 私はそこに、浮かれていたんだろうか。 プリンターから印刷された用紙を席に持ち帰ろうとして、 振り返った途端にまだ温かい紙が滑り落ちてしまった。 「や、わ、!!」 手から落ちた真っ白な紙はプリンターの周り一面に広がった。 呆然とする青木くんと目が合う。 「ご、ご、ごめん。今拾うから。ごめん、ホントに」 私は慌てて床に膝をついて用紙をかき集めた。 「ごめん、順番バラバラになっちゃったし、もう一回印刷した方が早いかも」 私が床に這(ハ)いつくばって言うと、青木くんは立ったまま私を見下ろしていた。 こういう時の沈黙の間はやっぱり怖い。 すると、青木くんは私から背を向けてしゃがみこんだ。 「『経費削減』。あなたが最も大切にしてることでしょ?無駄にはしません」 そして、青木くんも用紙を拾い出した。
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