「ねえ。それでも……」 二つの勇気

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私に電話をしてくるのは限られた人だけ。 家族か…… 独身の飲み友達くらいなもの。 後から折り返しても問題ない人物ばかりだ。 西川課長も私の携帯には気付いていない。 せっかくの雰囲気に、 後から掛け直そうと思って、 私はバッグを見つめただけで、手をのばそうとはしなかった。 震える携帯はしばらく鳴った後、 静止した。 店員に飲み物を注文し終えた西川課長が 立った今から食事を始めるかのように、明るい声で言った。 「乾杯し直そう」と。
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