「ねえ。それでも……」 二つの勇気

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大きく鼓動が跳ね上がった。 私の携帯に 彼の名前が示されたのは いったいどれくらいぶりだろうか。 見間違いかと思ってもう一度、目を凝らして見た。 そんなことをしている内に、 また、止まってしまった。 掛け直そうと思って履歴から番号を表示させる。 その間にも携帯から顔を上げると向こうから店員が飲み物が運んでくるところだった。 どのタイミングがいいかなんて、 考えている余裕はなかった。 「課長、少しだけ失礼します」 私は膝に広げていたナプキンを慌てて外すと、 つまずきそうになりながら 携帯を握りしめて席を立った。
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