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いきなり差し出された手の意味が分からず、そのまま眺めて、
考えたけどやっぱり意味が分からないので頭に疑問符を乗せたまま朝日君を見上げた。
「いや、手ぇ繋ごうかってことなんだけど」
困ったのと恥ずかしいのと、両方いっぺんな顔をした朝日君がふんわり微笑んで小首を傾げた。
その笑顔がまた、神に見えて、また放心してしまうとこだった。
「あっ、そ、そう、なの?」
「ん、まぁ」
「ご、ごめんなさいっ、私、わかんなくてっ」
慌てて手を伸ばして彼の指先に触れて。
それだけなのに、体全体でびくつかせてしまった。
そんな私の手をごつごつしてたくましい手のひらが包み込む。
包んで、手加減しつつも強く握られる。
すっぽり、朝日君の手の中に自分の手が収まっていた。
初めて、
付き合いが始まって初めて手を繋いで、初めて彼氏彼女っぽいことの第一歩を踏み出せて、目の前が激しく滲み始めている。
好きな人と手を繋ぐって、こんなにも甘いものだったんだ。
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