【あっくんの企(タクラ)み 編】

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一人になって、私は宣言どおりに読みかけの本を開いた。 何かで気を紛らわしたかったのかもしれない。 しばらくぶりに開く恋愛を交えたミステリ―小説。 私はしおりを挟んだページから数ページ戻ってストーリーを思い出しながら読み始めた。 頭の中は本のストーリーと、頭から離れない恥ずかしい妄想でぐしゃぐしゃになる。 ストーリーに集中できずに本を閉じかけた時、 こともあろうに主人公と想いを寄せる彼とのキスシーンに突入してしまった。 濃厚に描かれたキスシーンはそのままベッドシーンに移行する。 今まで集中できなかったクセに そのシーンだけが妙にリアルに頭に浮かぶ。 あっくんが戻って来たのは その時だった。 カチャリとドアが開くのと同時に、 私はパタリと本を勢いよく閉じた。
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