666人が本棚に入れています
本棚に追加
すると、あっくんは「わからないのか?」とばかりに今度は言い方を変えた。
「事務所」
「事務……所……。事務所!?」
私は思わずあっくんの腕を掴み、手元の資料を奪うように深く覗き込んだ。
よく見ると、
部屋がいくつもあるわけではなく、ベランダもなければ、トイレがあるのにお風呂はない。
「……事務所……」
私はもう一度呟いてゆっくりとあっくんを見上げた。
「内田さんがいい物件見つけてくれてさ。駅も近いし、郵便局も近い。法務局も裁判所も自転車で行ける距離だし、この条件で家賃15万。ここしかないと思ってさ」
「あっくん……」
あっくんの説明を聞きながら自分の顔が熱くなっていく。
恥ずかしいからとか照れるとか、そんなんじゃなくて、
興奮で気持ちが高ぶっていた。
最初のコメントを投稿しよう!