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そして、迎えた週末。
「行くぞ、ひかる」
ひかるを連れて内田さんと約束していた彼の事務所へ出向いた。
「お世話になります」
少し改まった挨拶をした俺に内田さんが笑い出す。
「はいはい、ホントにお世話してますよ」
「いつもすみません」
内田さんには本当に世話になっているので嘘ではない。
内田さんも悪い気はしていないのか、たまにこうやって挨拶すると、どこか照れたように笑うんだ。
「兄貴は上手いね。こうやって人の心を掴んじまうんだから。ねえ、ひかるちゃん」
ひかると目が合うと、彼は大袈裟にため息をついた。
「……って、もう兄貴じゃねーんだよな」
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