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ひかるは俺の返事が怖いのか、わずかに声が震えていた。
俺は身体を横向きにすると、完全にひかると向き合った。
そして、胸がいっぱいになりながら、
自分の声が震えそうになるのを堪えて、ひかるの横顔に掛かりそうな髪を掻き上げた。
「……ひかる、顔、見せて」
ひかるが恐る恐る顔を上げる。
「ひかるは最初っから、俺にはもったいないくらいイイ女だぜ?」
ひかるの目に涙が滲んだ。
「俺がひかるを待つって言ったのは、ひかるの気持ちが固まるまでってこと。待ってる間に『どこまでイイ女になっちまうんだろう』って心配までしてたくらいだし」
ひかるの目が涙をたたえたままゆっくりと細まった。
「あんまりイイ女になっていくから、誰かに獲られちまうんじゃないかって変にヤキモキしたりさ」
俺は自分の子供っぽさに思わず笑った。
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