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「…ヤ…ちょっと、あっくん……」
ひかるが俺の手を止める。
もう少し攻めればひかるはきっと参りましたと俺に全部を委(ユダ)ねてくるはずだ。
俺がひかるの手を払い除け、強引に続けようとすると、
今日のひかるはなかなか落ちない。
「あっくん、先にご飯で、お風呂」
ひかるは俺の手を自分から引き剥がした。
いつもは……
上手くいくのに。
俺は自分の唇が子供みたいに尖っていくのに気が付かなかった。
すると、ひかるが笑う。
「あっくん、こうなってるよ」
ひかるはアヒルみたいに唇を突き出した。
「バーカ。なってねーよ」
「うそ、なってたよ」
ひかるがアヒル口のまま言うから結局折れたのは俺。
「そんなマヌケな顔してねーよ」
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