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「いい加減、ちゃんとした苗字で呼んで下さいよ。御堂っていう立派なのがあるのに」
渋い顔をしつつ、メガネを上げながら言っても、どこ吹く風。さらさらな髪の毛をかき上げ、何言ってんだよと呟く。
「分かってないね、ホント。個人的に、可愛がってあげてんのにさ。他のヤツラは苗字で呼んでるけど、お前だけ、特別な感じで呼んでやってるじゃないか」
「それが、イヤだって言ってます!」
とか何とか言ったけど、実は内心喜んでいたりする。でも西園寺先輩の口から、たまぁにでいいから、御堂って呼ばれたい願望もあるんだよなぁ。
俺の顔を見て、ニコッと微笑んでそれから、「御堂、好きだよ」なぁんて言われた日にゃ、どうなってしまうか――
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