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聞き慣れない苗字に、新入部員同士で顔を見合わせた。
「西園寺の幼馴染で、ナイトなお人なんだ。スポーツ万能に成績優秀でイケメンっていう、3拍子揃った先輩でさ。そんな人が西園寺に跪いていたんだよ。よって誰も手を出せなかったというワケ。まさに美男美女って感じだったなぁ。ああ、美女はダメか。アハハ」
先輩は可笑しそうに笑っていたせいで、周りにいるヤツラは合わせるように笑みを浮かべていたが、俺は笑うことが出来なかった。
喜多川先輩――どんなヤツなんだろう? 自分には、太刀打ち出来ないヤツなんだろうか?
思いがけないところからもたらされた情報に、胸をジリジリ焦がしたその日に、当の本人に逢うことになろうとは思いもしなかった。
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