男子高校生 西園寺圭の真実の恋番外編 ~雨~

23/42
前へ
/111ページ
次へ
*** 「あ、降り出した……」  部活が終わり生徒玄関から出た瞬間に、パラパラと雨が降ってきた。 「今日は雨が降らないって朝、テレビで言ってたの聞いたんだけどな」  パラパラだった雨粒が、音を立てて降り出したのだが、遠くを見たら雲の隙間から青空が覗いてる状態。雲の流れも早いし、待っていればその内に止むだろうと、その場に立ちつくしていたら。 「おっ、学年代表お疲れ~! ゲッ……なに、この雨!?」 俺の隣にひとり分の空間を開けて、横に並んだ西園寺先輩が、空を仰ぎ見て顔を歪ませた。 「お疲れ様です。たった今、降り出したばかりなんですよ」 「ええ~っ……すぐに帰りたかったのに、タイミング悪いな」  肩にかけていたカバンを床に投げ捨てるように置き、はーっと大きなため息をつく姿に、こっそりとほくそ笑んでしまう。
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!

115人が本棚に入れています
本棚に追加