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俺にとっては、グットタイミングだ――こうやってふたりきりになれるなんて、すっげぇ嬉しい。
喜びを噛みしめながら、少しだけ体を先輩の方に移動させてみた。ほんのちょっとだけど距離が縮まり、更に嬉しさが募る。
目の前に降りしきる雨が、俺たちを包み込むような感じに思えて、口元を綻ばせながら、ぼんやりと眺めてしまった。
「あ、だけどあそこ。西の空が明るいじゃん、もしかしたら虹が見えるかも」
落ち込んでいたと思ったらもう立ち直ったらしく、右手をあげて明るくなってる空を指差し、俺に教えてくれる。
「そうですね、見えるかもしれません」
「何だよ、その言い草。学年代表ってば相変わらず可愛くないな」
西園寺先輩の言葉を肯定したというのに、つまらなそうな表情を浮かべ、文句を言ってくれるなんて困るしかない。
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