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「たまには圭を、ドキドキさせたいなって思って。ダメ?」
「ダメに決まってるだろ、心臓がいくつあっても足りないって。それよりもちょっと、寄り道して行きたいんだけど」
「寄り道? 虹を探しに行きたいって言う気でしょ?」
俺に背を向けて、歩き出したふたり。ひとつの傘の中、ぴったりと寄り添う姿に、キリキリと胸が痛んだ。
「さっすが喜多川、分かってるね僕のこと。あ、学年代表お先に!」
やっと気がついた風に声をかけながら、右手をぶんぶん振って、目の前から消えていった西園寺先輩。
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