1543人が本棚に入れています
本棚に追加
「…………、」
考えろ。突破口を見つけろ。
この場合、子猫を助ければいいんだよな? 俺が子猫助けてから『わたしの手で助けたかったのにぃ!』とかヒステリー起こさないだろうな?
「ふむ。ちょっと下がっててください」
「……?」
ったく。猫があのくらいの高さから落ちて怪我するわけねえだろ。あいつらは高いとこから落ちてもいいようにできてるんだよ。男が筋力が高いように、女に魔法という別系統の力があるように。そういう身体構造をしてるんだ。別にこっちから手を差し伸べる必要があるかよ。
それでもあの子猫を助けるには。
やっぱその力を正しく使わせるべきか。
そんなわけで俺は目の前の木を蹴った。こんなのさっさと落としてしまえばいいだけだろ。
「あ、あああのっ」
「はい?」
だというのに。
魔女っ子はなぜか慌てた様子で俺の袖を引っ張ってきた。
ちょっ、まっ、新手の魔法か!? 袖が爆発するとかそーゆーのか!?
「そんなに揺らしたら、その、子猫が落ちちゃいます……っ」
「そのつもりなんですが」
「っ! だ、だだだめですよっ。子猫が怪我したらどうするんですかっ」
ま、まずい……!!
これが最善の方法ではあるんだが、こいつはそれを『酷いこと』と認識してやがる。
つまり俺は子猫を虐める悪い奴ってわけだ。まずいまずいまずい!! これだけでも殺されるには十分すぎるぞ!!
「す、すみません。確かに貴女の言う通りですね。配慮が足りませんでした」
「あ、いえ……」
体調は大丈夫だな?
未知の病魔とか注入されてないだろうな? ハッ、さっき袖引っ張ってたのは何らかの術式を仕込むためか!?
「あの、もうあんなことはしないので許してください」
土下座か? いや、もう靴でも何でも舐めたほうがいいのか!?
「あ、あの、分かってくれたらそれでいいんです。だから、そんな、頭を下げたりしないでください……」
「そ、そうですか」
本当だろうな?
実は内心ブチ切れてて、遅延型の魔法仕込んでましたとかってオチじゃないだろうな!?
最初のコメントを投稿しよう!