第一章 この時代での男の生き方

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「…………、」 考えろ。突破口を見つけろ。 この場合、子猫を助ければいいんだよな? 俺が子猫助けてから『わたしの手で助けたかったのにぃ!』とかヒステリー起こさないだろうな? 「ふむ。ちょっと下がっててください」 「……?」 ったく。猫があのくらいの高さから落ちて怪我するわけねえだろ。あいつらは高いとこから落ちてもいいようにできてるんだよ。男が筋力が高いように、女に魔法という別系統の力があるように。そういう身体構造をしてるんだ。別にこっちから手を差し伸べる必要があるかよ。 それでもあの子猫を助けるには。 やっぱその力を正しく使わせるべきか。 そんなわけで俺は目の前の木を蹴った。こんなのさっさと落としてしまえばいいだけだろ。 「あ、あああのっ」 「はい?」 だというのに。 魔女っ子はなぜか慌てた様子で俺の袖を引っ張ってきた。 ちょっ、まっ、新手の魔法か!? 袖が爆発するとかそーゆーのか!? 「そんなに揺らしたら、その、子猫が落ちちゃいます……っ」 「そのつもりなんですが」 「っ! だ、だだだめですよっ。子猫が怪我したらどうするんですかっ」 ま、まずい……!! これが最善の方法ではあるんだが、こいつはそれを『酷いこと』と認識してやがる。 つまり俺は子猫を虐める悪い奴ってわけだ。まずいまずいまずい!! これだけでも殺されるには十分すぎるぞ!! 「す、すみません。確かに貴女の言う通りですね。配慮が足りませんでした」 「あ、いえ……」 体調は大丈夫だな? 未知の病魔とか注入されてないだろうな? ハッ、さっき袖引っ張ってたのは何らかの術式を仕込むためか!? 「あの、もうあんなことはしないので許してください」 土下座か? いや、もう靴でも何でも舐めたほうがいいのか!? 「あ、あの、分かってくれたらそれでいいんです。だから、そんな、頭を下げたりしないでください……」 「そ、そうですか」 本当だろうな? 実は内心ブチ切れてて、遅延型の魔法仕込んでましたとかってオチじゃないだろうな!?
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