第一章 この時代での男の生き方

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「…………、」 楽な道じゃないとは思ってた。 世は女尊男卑の時代。 男が成り上がるには相応の苦痛を伴うって分かってた。分かってはいたが……ッ!! 「ちくしょうが」 嫌悪感がある。 できれば関わりたくない。 それでもあれを取り込まないと成り上がれない。奴隷にも似た人生が訪れちまう。 俺に選択肢なんかありはしないんだ。 ーーー☆ーーー 真面目に自習などやってられなかった。ぼんやりと窓の外を見やる。このクラスの女子は今日は実戦形式の授業ではないのか、外には見慣れない顔ぶれが超常をぶつけ合っていた。 そこに今日の魔女っ子がいた。 さも理不尽で圧倒的な力が飛び出すんだろうな、と自分でも驚くほど冷めた目をしていたんだが、 華奢な体が宙を舞う。 一年では平均的な魔法に彼女が吹き飛ばされていたのだ。 「…………、は?」 あり得ない。 あんなのあり得ない! だってあいつは浮遊の魔法を使えるんだぞ。重力操作、風の支配、巨大な翼による浮力の確保、そーゆー原理がある力じゃない。『空を飛ぶための力』を作り出していたんだ。それは一つの系統を形成している。世界のどこにも存在しないものなんだ。そんなものを顕現できるくせにどうして平均児に圧倒されている!? 「な、なあ! あれ、あいつのこと知ってるか!?」 「なんだよ、急に」 「いいから知ってるなら教えてくれ!!」 「なんだよ好みの女でもいたか? やめとけ、女なんてどいつもこいつもバケモン揃いだ。下手に触れたって火傷するだけだぞ」 などと嘯きながらも教えてくれた。前の席の男曰く、 「あいつの名前は宇佐川雪音。典型的な落ちこぼれってやつだよ」 「落ち、こぼれ……?」 なに言ってやがる? だってあいつは浮遊の魔法を使えるんだぞ。下手すりゃ『魔女』だって発現できないような新たな系統の力を顕現してたんだぞ!! おい、これって……チャンスだったりするんじゃねえか?
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