第一章 この時代での男の生き方

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2 「大和くん、ちょっといい?」 昼休み、さぁメシだメシと興奮していた時に女性に声をかけられた。 それだけで心拍数が上昇する。 頬に汗が伝うのを感じる。 それでも外面だけは平然と、気のいい感じに微笑など浮かべ、自分でも吐き気がするほど爽やかに応じる。 「なにかな、堂島さん?」 堂島雫。 茶髪に赤のカラーコンタクトと高校生を満喫してるなーと思う格好の女性。こんな格好ができるのも、校則が女に都合良くなっているから。男は髪の長さから何から厳格に管理されているっていえば、今の『時代』がどんなものかよく分かるだろう。これでも時代が戻ったのか制服として採用されているセーラー服をきちんと着てるだけマシなくらいだ。 確か一年、しかも入学して一ヶ月で四大派閥の一つ『玄武』に所属しているとか。完全実力主義、つまり派閥に所属できるのは相当上位の連中だけってとこを考えると、このクラスで一番に狙うべき女ってわけだ。 ……それだけ危険でもあるのだが。 「放課後時間あるかな? 集まりがあるから大和くんにも参加してもらいたいんだけど」 「集まりってまさか『玄武』の?」 「違う違う。一年グループの、よ。派閥みたいな感じじゃなくて、こう、仲良しグループの延長線みたいなものかな」 「? 堂島さんは『玄武』に所属しているはずじゃあ……?」 「そうなんだけどね。先輩から同学年との繋がりも大事にしなさいって言われてね。だから一通りやってるわけ。今日の集まりもその一環ってわけ。で、どう? 都合が悪かったりするかな?」 「そんなことはないよ。それにもし何か用事があったとしても堂島さんの誘いを優先すると思うよ」 「そう? 嬉しいこと言ってくれるわね」 じゃ放課後に、と手を振り教室から出る堂島雫。弁当の俺と違って学食なんだろう。まぁ学食を利用できるのは女だけなんだけど。しかも無料。その金は俺らの学費から出てるんじゃないだろうな?
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