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放課後。
目を閉じ、気合を入れる。
全身に嫌な震えが走るが、この恐怖を乗り越えなければ先はない。
「大和くん、いこっか」
「はい」
堂島雫についていくこと数分。
一度外に出て、西校舎から旧校舎へ。今は使われていないはずだが、彼女は胸元から取り出した鍵を使って中に入った。
安っぽい演出だなあ、おい。
と、内心呆れていると、目的地についたようだ。旧校舎、と言ってもそれなりに掃除しているのか普段使っている教室と変わらないほど綺麗だった(女たちのたまり場になっているからか)。
その一室。
一年三組。
そこに入る。
「あ、きみが噂の東城ね。雫さんから話は聞いているわ」
「あら、かっこいい。雫が惚れ込むのも無理はないわね」
「こら、茜っ。余計なこと言わない!」
「ごめーん」
「もーいつまでそんなところで喋ってるの。こっち来なってー」
ぐいぐいと金髪やら赤髪から思い思いに高校生活を満喫している女たちに引っ張られるように移動させられる。すとん、といつもの窓際の席に座らされる。
……雫が惚れ込むのも無理はない、か。どのレベルかは分からないが、気に入られているようで何より。
それからは自己紹介やら世間話やら、普通の高校生みたいなことをして集まりは終わった。もっと、こう、特別なことがあるんじゃないかって身構えていたのが馬鹿らしくなった。
しかし雫を入れて五人か。
こいつら纏めて手中に収めるのは難しいだろうし、変に欲張って分裂とかしても困るしな。ここは一番強い堂島雫だけを狙うべきか。幸か不幸か気に入られているようだし。
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