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「優さん。」
「ん?何?」
「私隠してたことあって。」
「何何?」
「門限…ないんです。」
「は?」
彼の目が少し変な風に光った気がした。嫌われる前兆なのだろうか。でも、このまま嘘つくなんて私、もう耐えられない。
「いや、ちゃんと連絡すれば大丈夫っていうか。私よく進学校通ってる友達の家で宿題するから、苦手な科目あって、それ数学で。たまに全然わかんなくなって、でも友達上位トップ3に入る才女だから、いつも遅くまで教えてもらってて、それで夜遅くなると、友達のお母さんが、お母さんって料理本出してるくらいのすごい有名な人らしくて、試作品なのって言ってよくケーキとかフランス料理?みたいなの食べさせてくれて、せっかくだし泊っていってねって言われることあって、それで、だから帰りは連絡すれば大丈夫だと思う。だから今夜も連絡すればきっと…」
「よく噛まずにそこまで早口で話せるね。」
「え、そんなことは…」
「それさ、俺のとこ泊るって正直に言ったらまずくない?」
「そこはちゃんと…」
「ちゃんと、何?」
「それなりの言い分を考えます。」
「嘘、ついちゃうんだ。」
彼がすっと手を握ってきた。恥ずかしくてすかさず離そうとしたけれど、彼の握力が学年一位だという事をすっかり忘れていた私は、全然敵わない彼の力にただただ戸惑っていた。
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