5.

2/32
157人が本棚に入れています
本棚に追加
/355ページ
私はようやく、お守りを捨てることができた。 健斗とお揃いで作った、写真入りのストラップ…… それは、自分を守るためのお守りだった。 持ち続けていれば、どこかでまだ繋がっているような気がしていた。 けど、そんなのは結局、私の思い込みで、私たちはとっくに終わっていたんだと、知った。 その事実を受け止めるのに、随分時間がかかってしまった。 その間、何度も振り返って、何度も後悔した。 あの日、健斗の言葉を、どうして許せなかったんだろう。 許せなかった自分の心の狭さが許せなくて、責め続けて、ようやく気づくことができたのだ。 ーー私は間違ってなかったのかもしれない、と。
/355ページ

最初のコメントを投稿しよう!