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毎朝7:30。桜駅北階段を登っていると、あたしの横を甘い匂いが通り過ぎてゆく。
顔は見たことない。少し茶髪の髪の毛で、紺に緑のラインが入ったカバン。そして、あの制服は確か、友達の行ってる高校の制服のような気がする。
「ねぇ、彩。」
帰り道、行きつけのファーストフード店に甘い匂いの彼と同じ高校であろう友達の彩と、いつものおしゃべり。
「んぅ?どうしたぁ?」
口にポテトを運ぼうとした手を一度止め、あたしを見る。
「あのさ、彩の高校の人でさ、桜駅の北階段使う人で毎朝見るんだけど、茶髪で何か、こう…甘い匂いする男の人って居ない?」
「はぁ?甘い匂いって言われてもなぁ~香水?って言うか茶髪なんか、そこら辺に居るし誰かなんか分からなくない?」
あたしの問いかけに彩は困り顔。でも確信は持てた。彼は彩と同じ学校だ。だってカバンが一緒だから。彩が通ってる学校って指定のカバンで、制服も同一カラー。
「何かさ、朝見るんだよね。いつも後ろ姿しか分からないんだけど、なんか甘い匂い」
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