第1章 転生

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私は今、自動車免許をと取るために教習所に来ている。実際、今は路上での訓練中だ。時期的には大学が始まった直後で、あまり人はいない。私は大学の近くにある教習所に通いで、講義の合間に教習を受けているのだ。 「はい、そこ右ね」 「了解です」 言われた通りに車を動かす。まだあまり慣れてはいないが、最低限のことはひと通り出来る。そんな感じ。 教官もそれがわかっているのか、あまり気を張り詰めず、かと言って抜き過ぎもせずに私の指導をする。年配の方なので、もう慣れているのだろう。 信号が赤になる。それに気付いて私はブレーキを踏む。特に問題なく止まる車。 「もうだいぶ慣れたか?」 「ええ、まあ」 可も不可もなく。平均的。それが私らしい。 いつも私は平均的であった。学力、運動能力、状況判断能力等。何かに秀でたものはないが、劣ったものもない。容姿もいたって平凡。それがつまらなくもあり、楽でもあった。 刺激的な毎日を送っているわけではない。かと言って、退屈をしているわけでもない。平凡な日々。私はそれに満足している。アニメや漫画のような展開には憧れるが、それは非現実であるからこそ。現実は堅実でありたい。 と、信号が青に変わる。対向車線には大型トラックが1台のみ。信号で静止していたわけではなく、ちょうど変わった瞬間に来た。余裕を持って行動するため、ウインカーを出して通りすぎるのを待つ。 ーーそれがいけなかった。あのトラックの運転手は長距離移動で疲れが溜まっていて、一瞬、うたた寝をしてしまったのだ。もちろん、それに気付くことはない。 僅かに前に出る。車線上に被らないように。 その瞬間、トラックの軌道が僅かに逸れた。それも、こちら側に。 「えーー」 「なっーー」 ぶつかる。そう思った瞬間、私の体に強烈なインパクトが加わる。意識が暗転した。 ーートラックの運転手の異変に、僅かにでも気付いていたら防げた事故。もし、前に出て待機しなかったら防げた事故。それで、私は命を落とした。
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