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いつの間にやら飛び込んでいた赤提灯が揺れる
親父の集う店。
「お姉ちゃん、飲みすぎたらあかんでー」
何でかここのオヤジは大阪弁。
「いいの、今日はいいの!
べろんべろんになってやる!」
「お姉ちゃん、かなんわぁ
ちゃんと帰ってやぁ」
ビールは思いの外美味しかった。
なんか、どこか吹っ切れたのかもしれなくって。
「なんや、お姉ちゃん、失恋でもしたんか」
「してないっス」
やけに絡んでくるのは関西のノリなんだろう。
遅い時間になるにつれ
満席になる赤提灯。
席を追われるように放り出された頃には
やっぱり出来上がった私。
「そういえば、お前は飲むなって、言われてたッスね」
あのとき
匠くんに電話で助けて、と言ったのは
隣にいる倉内翔に飲み込まれてしまいそうになって
思わず助けてほしくなったから。
別に匠くんとどうこうなろうなんて
これっぽっちも考えてなかったノダ。
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