Round No.4

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************ 「でも飛び蹴りって、あんたねぇ」 ランチのマグロアボカド丼を口に運びながら 苦笑いを披露する内田くん。 レモンソーダは とにかく酸っぱくて シロップがあるのに気付いたのは だいぶ後の事だった。 「あー、下顎がぎゅんぎゅんするぅ」 「シロップ入れなさいよ」 「もう今さらでっスよね?」 じゅルルと啜ると果汁らしきモノが不意に喉奥へやって来て ムセムセに。 「バッカじゃないの、イモ子ちゃん まぁ、よくやったわよ」 「はい、ヤツに悔いはありませんっし」 「じゃあ、残すのは翔ちゃん こっちも悔いはのこすんじゃないわよ?」 「はい!」 「ね、ホントによ?」 って2回も念入れされて 「た、たぶん、……」 と弱気ると 「ダメよ! ホントに後悔しないように、しなさいよ!」 「……な、な、なんですか、藪から棒に、イキナリ!」 「だってぇ、イモ子ちゃんには幸せになってほしいのよ!」 「う、内田きゅんっ」 な、泣きそうになるッスねぇ。 「だってさ!勝負バンツが一回も役に立たないって それ、どうなの?的なね? ダメじゃない、毎日履いてんでしょ?」 「は、はいてますよっ」 ババァン、と見せびらかしたいくらいだが 公衆の面前なので控えてやろう。苦しゅうないぞ。 「じゃ、出来るだけ早く活躍できる事を祈ってるわ!」 「……あ、ありが、とう、ございます?」 会社に戻ると 幾分和らいだ気分の悪さ。 だけどなんだかいつもと違うのは やっぱり疲れのせいもあったんだな、と思った。 ユン○ルをコンビニで調達して ぎゅ、と煽り飲む。 あまりの不味さにかえって不快になる。 「あー、おっかしぃなぁ」 ちょっと休みますよ。 仮眠したらまた、頑張りますから。 と、思ってリーダーにその旨を告げ 許可をもらう。 会議室のソファで縮こまった。 直ぐに落ちていく眠りの中で ‘ももこ’ と、呼ばれた気がした。
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