Round No.2

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週明けAチームは、土曜のヒアリングを元に システムの設計デザインMTGから始まった。 デキルリーダーは早くもグループ内振り分けを開始。 実力派サブリーダーはもうプログラマーにテスト期間を提案していて。 コンスタント内田くんはヒアリング内容をじっくり吟味し。 私は、というと なっがい長い前髪の下で俯いて堪えていた。 何を? 倉内翔がここから去るのを、だ。 「小野、お前の案は相変わらず面白いな」 リーダーに振られた会話も中途半端に 頷き返すだけ。 「じゃあ、こっちは簡単にできそうねぇ」 内田くんも振り分けられた担当とヒアリングを照らし合わせながらトークに加わる。 「おい、イモ子」 「は、はひっ」 抑圧音は週明けからトップギアに突っ込まれていて 私のおののきはもう半端なモノじゃなかった。 「納期、結構短いけど大丈夫なんだな?」 「大丈夫です」 右手を顔の横まであげて 私はギュウ、と目を瞑った。 窒息してしまえ、と言われて 本当に窒息しかけたんだ。 倉内翔、ヤツの呪文は半端なく効果大。 気をつけなければ! 「小野さぁ、目出せよ」 「は?」 「こないだみたいにしたら?」 「……いや、いいス」 目、なんか出してみ? 倉内翔のいけすかないオーラをまともに見る事に なんじゃん。 冗談じゃない。 そんな事になったら後ろの壁に突き刺さるどころじゃ 済まなくなる。 MTGがやっと済んで 各自の時間になって ほっ、とため息を吐き出した私に 後ろの席の内田くんが声をかけてきた。 「ね、ね、イモ子ちゃん」 「なんスか、内田くん」 内田くんはちょっと意地悪な笑いを唇に乗っけて 私の肩に肘を置いた。
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