Round No.2

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最初の頃は、帰るだけ。 受験真っ盛りだった匠くんに連れられて 図書館へも行ったりした。 2学期の期末が終わった頃、初めてキスをした。 匠くんはいたって普通の高校男子だった。 爽やかで 人気があって 優しいし だけど アレの時は、人が丸っきり変わる。 ‘モモはいい子じゃないの?’ ‘モモ、どうしてほしいの?’ ‘あー、モモ、我慢しなきゃダメじゃない’ 高2の夏。 わたしの体験した初体験は そんじょそこらの初体験なんて比べ物にならないくらいの モノだったと自負できる。 だから この間、付き合って、と言われて ヨリを戻そう、と言われて 真っ先に浮かんだ匠くんとの数々の想い出は 身体を熱くするような、モノばっかりだった。 「ね、イモ子ちゃん」 肩を揺すられて回想から抜け出し慌てて返事をする。 「おもしろくなりそうね!今日!」 耳打ちされて、ブルルと震えが走った。 内田くんはウフフと笑いながらまだ自分の席へ収まり 私は開いていた匠くんのメールを読んで ゴクリ、と唾液を飲み込んだ。 ‘モモ、お疲れ様。 今日会いたくて、宴会セッティングしたんだ。 こないだの話の続きもできるかな’ はぁ、と静かにはいた溜め息。 机に伏せた私に注ぐ冷やかな視線に 勿論、気付く筈もなかった。
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