Round No.3

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今日は湿度が高くて 嫌な空気が肌にへばりつく。 終業と同時に一目散に会社を抜け出した私は 急いで水速美容外科、新宿院へと駆け出していた。 副院長様の話によると 事務長、匠くんは今日は新宿に滞在中だとの事でございマス。 匠くんに飛ばしたメールのレスにも 20時に新宿○〓で、と記されていたので 間違いないかと思われまスル。 『今日は新宿院は午後からオフなんだけど きっと、仕事してらっしゃる筈だから あ、裏にナンバーロックの入り口があってね? 内緒よ?番号は……』 「番号は……」 その前に。 真っ赤なシュシュを握りしめていた掌を解放する。 なっがい長い前髪をギュギュ、とシバって この歳でザッツチョンマゲ。 目の前が開けに拓(ヒラ)けて 事の真相を確かめてやろうと 気合いが乗る。 だって副院長様が私に伝えた、番号だって そうしろ、って言う訳じゃないのかな。 と、勝手に解釈。 いや、あんなに意地悪そうだけど イイところもあるもんだ。 うん。 よし。 「番号は……」 赤が、緑に変わって解錠を示す。 ほわぁぁぁぁぁ。 開きました! 本当に開きましたょ! 静かに身体を忍ばせて ふぅ、と長い長い息を これまた静かに吐き出した。
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