Round No.4

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新宿院を背にして呟いた。 「もーお前のような男には用はねぇんだよ」 赤いシュシュは結ばれたまま。 歳甲斐もなく潔く揺れる。 足がジンジンと痛かった。 こんな事をしたのは人生で初めてだからだ。 これを修羅場と呼ばないでなんと呼ぼうか。 今のついさっきまでは ちょっと信じていたかった。 副院長様の言った事を疑う気持ちの方が 多かった。 「んぎぎぎぎぎぎぎっ」 い、イライラするっ! 優しい男子なのにはかわりない。 人気があるのもかわりない。 そして あの時になると人が変わるのも、仕方がない。 「あぁっ、ムシャクシャするっ!」 何にって。 あんなヤツに。 あんなヤツに。 どうして気付かなかったんだろう。 匠くんの彼女さんが私に言った。 「貴女はその身体だけ、身体だけがイイんだって だって、可愛くないもんね? もっと隠した方がいんじゃない? まぁ、イイって言う身体だって、今じゃ あたしの方がイイのにさ」 律儀に6年もずっと覚えているんスよ? 忘れられなかった、と、言う方が正しいでしょか? 「もう、会わないほーが、アンタの為よ」 匠くんの彼女さんだという人は高笑いを振り撒きながら 去っていった。 よく考えたら、その彼女さんはとても親切だったんじゃね? そんな男だからやめときな、と忠告してくれたんだ。 「おっちゃん、おかわり!」
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