第4話 カタメの世界

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遠く感じる、数時間前を思い返す。 リリコの部屋で、あべのハルカスの犯人の携帯を渡し、裏を向けられた。 そこには、赤い目のシール。 被害者の女子高生、その父である『クマグロ水産』の社長、そして、三人の女性。 みな、同じシールを携帯電話に貼っていた。 それは『カタメ』という、宗教団体に属している証で、携帯から発せられる有害な電波を払う為につけていると、リリコは説明した。 「『カタメ』の祭っている神様は、『イシュタム』というのを覚えていますか」 数時間前の説明を思い出し、「はい」と杉田は答える。 この事件に関る人間の口から、何度も出てきた。
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