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竹山達が、焼肉店を出て、北野坂でタクシーを拾った頃。
リリコとともに、杉田は複雑な気持ちで部屋を出た。
「……すぎっちさん!!」
振り向くと、隣の部屋から出て来た姿。
パジャマで、すっぴんな顔は、ステージの上と全然違う。
十七歳の、頼りない女の子だ。
「……ごめんなさい。……私、すぎっちさんを……」
すみれは、今にも泣きそうな顔をして杉田に近づく。
……こんな顔をさせているのは、僕か。
伸びてきた腕に、すみれはびくりと肩を揺らす。
「もういいよ。……こっちこそ、ごめんね」
頭に置かれた手に、すみれが両目から水を零す。
「……もう、泣かんでええようにするから、ゆっくりしときや」
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