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そう言った杉田は、なんとか顔を歪める。
すみれは顔を上げ、くしゃりと笑顔を返してくれた。
後ろに居る、女性の警察官に頭を下げ、杉田は前を向く。
先にエレベーターに乗っていたリリコの隣に立つと、扉が閉まった。
「杉田さん、泣いてもいいですよ」
杉田は、大丈夫ですと小さく返す。
それから無言のまま駐車場に着き、ふたりは車に乗った。
「南港に向かってもらえますか」と言われ、「大丈夫ですか」と返す。
いつものリクルートスーツ姿で、黒ぶちのメガネの奥の瞳。
その下に、薄らとクマが出来ている。
「こんな時でも、他人を心配出来るって凄いですね」
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