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隣を見ると、メガネ越しの両目が向いていた。
「すみれさんは、杉田さんに、とても感謝していましたよ」
……やめてや。
喉の奥が痛くなり、杉田は前を向き、運転に集中した。
窓の外に、花火の様に光る観覧車が見え、高速を降りる。
海遊館と海を挟んだ倉庫街に着くと、警察の車が何台も停まっていた。
四角いコンテナが詰まれ、倉庫しかない場所は、いつもの暗く静かな様子ではない。
杉田とリリコが車を降りると、大きな声が聞こえた。
「遅せえ!! 何しとったんや!!」
「そちらも、まだ、到着して五分ほどですよね」
リリコはそう言って、柳下のすぐ傍、山上と田淵が乗っている車を見る。
「エリ…梅林寺が来るの、待ってたんやぞ!!」
「それは、すみません。始めましょうか」
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