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柳下が舌打ちをし、どんどんと車の後ろの窓を叩いた。
扉が開き、ふたりに挟まれ、手錠をかけられた『クマグロ水産』の社長が降りてくる。
「社長さん、冷凍保存庫まで案内して頂けますか」
いつも通り平坦な声が、杉田の耳に鋭く聞こえた。
白い顔をした社長は、数日前と比べ、ずい分老けこんだ様に見える。
よろりと進む足とともに、四係の面子が向かい、大阪府警の刑事や付近の所轄の警察官が見守る。
つつましい民家ほどの大きさの倉庫に着き、柳下に言われ、渡された鍵を杉田が開けた。
「手伝います」と言って、隣に並んだリリコと一緒に重い扉を左右に引く。
隙間から、目には見えない冷気が漂い始めるのを感じた。
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