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マグロの後ろに、吊るされた、人間たち。
首に紐がぎちりと食い込み、両足は床から浮いている。
見覚えのあるひとりに、杉田は向かう。
「杉田さん、何、してるんですか」
リリコが、赤に両腕を伸ばす杉田に言った。
「現場を荒らすのは、やめて下さい」
隣からの、いつも通りの声を聞かず、地面から浮いている体を抱く。
昨日は、温かく、柔らかかった。
今は、驚くほど冷たく固い。
寒さが、杉田の全身を包んだ。
「……降ろしてあげなきゃ」
唇の震えを感じながら、言葉を漏らす。
「もう、亡くなっています。鑑識の方に、頼みましょう」
「……昨日まで、生きてたんですよ!! どうして、そんなに、冷静でいれるんや!!」
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