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細い手首は、とても熱い。
杉田は、自分の冷たい手を離した。
「……ありがとうございます。また、止めてくれて」
そう言い、リリコは、カッターナイフをポケットにしまった。
それを見届け、杉田は口を押え、倉庫を走って出て行く。
待機していた警察の人間たちと逆行し、騒然とし始めた場から離れる。
建物の隅で、声を上げ、胃液まで吐きだす。
ジャージのポケットには、ハンカチはなく、手でぬぐう。
ふらふらと車まで戻ると、運転席にリリコが座っていた。
「どうぞ、使って下さい」
助手席に乗ると、ハンカチを伸ばされる。
いいですと言うと、口に押し付けられた。
「柳下さんたちは、大阪府警に戻りました。私たちも急ぎましょう」
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