第4話 カタメの世界

33/34
77人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
「さき程は、時間がなくて説明が出来なかったんですが、『イシュタム』というのは、女神で、特異な姿をしています」 そう言って、リリコは取り出した携帯を指でなぞる。 車が高速を降り、赤信号で止まってから、杉田の前に差し出す。 「マヤ神話に出てくる、自殺の女神です」 目の前ある画面には、目を閉じ、首を上から吊られている絵があった。 「『空の帯』に繋げられたロープを首に巻き付け、両目を閉じ、顔面は腐乱しかけているとされています。『イシュタム』は、首を吊って死んだもの達を、楽園に連れて行き、あらゆる苦しみから解放し自由にするそうです」 画面の絵と、先ほど見た姿が重なる。 先のふたりも。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!