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杉田が口を開く前、画面が、着信の知らせに変わる。
渡すと、「すみません」と言い、リリコが電話に出た。
……梅林寺さん、女の子の友達おるんや。
ぼんやり思い、変わった信号に車を動かす。
「はい」と何度かリリコが返し、「お願いします」と言って電話を切る。
「杉田さん、大阪駅に向かってもらってもいいですか」
「えっ」と杉田は隣を見る。
「私は、これから神戸に行きます。あの子を迎えに」
そう言ったリリコの顔は、表情は変わらないが、とても固く見えた。
「何百年も前のマヤ文明で、自殺が流行した時があったそうです。英雄的行為だと、美化されて。『イシュタム』は、利用され続けています」
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