第二章『魔影』

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内からは騒がしい馬鹿笑いが聞こえる。 瑠璃がBAR【黒蠍】の扉を開ける。 ギィと錆び付いた金具が響く。 店内は突然の珍客、少女と青年が物珍しいのだろう静かになり視線が集中する。 瑠璃は気にせずカウンターへと歩を進めマスターの前の席に腰をおろす。 「…すまない店主。連れにスパゲッティと私にサンドイッチとミルクを頼む。」 ボソりと告げる。 店内からは、笑い声が響く。 ある者はテーブルに手を叩きつけ笑う者、腹を抱えて転げ笑う者。 二人の横に居た熊の様な男が笑いながら話し掛けてくる。 「おいおい、ここは喫茶店でも幼稚園でもないんだぜぇ。ガキは家に帰って母(ママ)の乳でも吸ってろよ。ガハハッ…」 男はそう言い周りを盛り上げる様に笑う。 その言葉を瑠璃の隣で聞いていたルナは青ざめ頭に手を当てていた。 「…こいつ死んだな。瑠璃にその話題、母親の話は禁忌だ。南無阿弥陀仏。」ルナは呟き手を合わせる。 次の瞬間 男は先ほど瑠璃達が入ってきた扉を勢い良くぶち壊しながら飛んでいき壁にぶつかりへたり込んだ。ぴくぴくと動いている事からどうやら息はあるようだ。 店内は静まりかえりただ皆何が起きたか分からずにいた。 それに、瑠璃が沈黙を断ち切るよう話す。 「…すまないマスター 扉、壊してしまったな。隣席、急用があったみたいでな。で、注文…大丈夫かな?」瑠璃が冷たく薄く笑みを浮かべる。 店主は怯えた顔で慌てて厨房へとかけていった。 「瑠璃様!瑠璃様!…ちょ、ちょっと目立ち過ぎでは? 一応敵地の真っ只中なんですから穏便に、どうか穏便に行きましょうよ…最早だいぶ遅いですが…。」 ルナは肩をおとしながら呆れるように呟く。 ギロりと瑠璃はルナを睨み口をパクつかせて微笑む。黒く。 どうやら読唇術で読めと言うらしい。 「えっと……み、な、ご、ろ、し、に、し、て、い、い、か、な、?、☆ えっと…瑠璃様それだけは勘弁して下さい飯前に解体ショーだけはお願いしますッ!」 ルナの綺麗な土下座であった。 瑠璃は興が削がれたのか視線を外しミルクに口をつける。
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