3 野望

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「大東亜戦争を回避するだと」 「うん。この数年前にペリーがやってきて、日米和親条約を始めとする数々の不平等条約を諸外国と結んだわけじゃん。 それから、明治維新まで国内でもめまくって、明治になってからは外国に負けないように大慌てで近代化を急ぐことになる。 今から近代化、それも今の西洋文明じゃなくて、この100年、200年先の文明を植え付けていけば、大東亜戦争のときにはより優位に立てるようになっている。 と、いうか、日本の科学レベルが他国よりも圧倒的に高ければ、戦争しかけようとは思わないでしょ。 米英仏蘭もABCD包囲網とかやらないで、日本の元に膝まずくわけだ。 アジア解放というか、怖くてアジアに手を出せません、みたいなことになったらもっといい。 どう、やってみない?」 「・・・なるほどな。それはいいかもしれん。俺たちの知らない未来ができるというのも悪くないな。だが、それにしても恐ろしいことを考えついたものだな。俺のいた頃には、貴様のような女はいなかったぞ」 「戦前から女の立場というものが大きく変わったんだよ。女でも学問をしたければ学問をする。働きたければ働き、政治家になりたければ政治家になる。 女が家庭に縛られる時代は終わったんだ。それは、第一次産業が衰退し、第三次産業が主体となった社会の変化とも関係あるんだとは思うけど」
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