幕末技術者

3 野望

「ガラスというか、液晶モニタね。この液晶が発明されたことでノートパソコンが安価で作れるようになったんだけど、そういうハード面の説明は今は省く。
で、これがキーボード。タイプライターとキーの配列は大体同じかな。このキーボードや、ここのトラックパッドを使ってマウスカーソルを操作することなどで、コンピュータに入力する、すると、何らかのアクションが返ってきて、モニタに表示される。つまり、関数の引数に値を代入して、その関数が値を返すのと、基本的に同じだよ」

寛子はTerminalを立ち上げた。

「昔はこういうコマンドラインにシェルコマンドをキーボードで入力して操作していたんだけど、最近はこうしてウィンドウで表示されたものをマウスポインタを使うことによってより直感的に操作できるようになって、普及に拍車をかけたわけ。
こういう方式をグラフィカルユーザインタフェース、略してGUIと言う。このGUIができるようになるのが、1961年頃」

「わかるようなわからんような。何ができるのか、やってみてくれ」

「じゃぁ、この間言ってたフーリエ級数のことをやろうか」

そう言って寛子はコマンドをいくつか打つと、emacsでとあるファイルを開いた。