3 野望

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「これがプログラムのソースコード。これにはフーリエ級数を求めて図示するように書かれている」 「英語ばかりだな。これは、日本が戦争に負けてしまったせいか?」 「まぁ、それもあるし、情報科学はアメリカやイギリスで発展したってこともあるし、ま、そんなに気にしなくてもいいんじゃない?で、これをコンパイルして実行する」 寛子はコマンドを打ち、エンターキーをポンッと叩くと、別のウィンドウでグラフが出てきた。 「これがこの周期関数のフーリエ級数を100次まで求めた曲線。もし1000次まで求めたければ、このソースコードを少しいじってやればいいだけ」 ものの数秒後には、新しいグラフが出てきた。 「ね?いいでしょ。わざわざ手で計算する必要もないの」 「これは凄い。アメリカはこんなもので弾道計算していたのか。やはり負けるべくして負けたのか・・・」 「もっとも、戦時中のコンピュータなんて、今のこれの何百分の一の能力だから。さて、他にも色々できるんだよ。例えばこのライターソフトを立ち上げてみる。で、ここに文字を入力して、文書が作成できる」 寛子は適当な文字列を打った。フォントやサイズ、色なども変えて、やってみせた。
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