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「これは、凄い。これがあればあの戦争はどれほど楽だったか」
さらに海上自衛隊の広報動画も見せて、ひとしきり軍備について説明した。
伊織はすっかり魅入ってしまったようだ。
ただひたすら、凄い、と呟いている。
「支那事変や大東亜戦争といった悲惨な戦争を回避するためには、抑止力としての戦力が必要で、そのためには圧倒的な技術力が必要になる。それを可能にできるのは、私たち科学技術を知っている者だけ。こういったものをこの時代に作り、コンピュータも作る。これが私の野望」
どう?と寛子はいたずらっぽい笑みを浮かべて伊織を見た。
寛子の言葉に、伊織は江戸に来て最初の頃に思ったことを思い出した。
零戦を作りたいという想いが再燃してきた。
「こいつはいい。やるか」
一度死んだはずの身であり、せっかく江戸に来たんだから何か一事を成してみたい。
それは伊織と寛子の共通の願望であった。
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