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パソコンは、伊織と柳太郎に動画を見せたらすぐにバッテリがなくなってしまった。
そこで寛子は電気の供給源として最も簡単なボルタ電池を作ることにした。
このボルタ電池について、これより9年前の1847年(天保8年)に、宇田川榕菴という津山藩の藩医がオランダの文献を翻訳して『舎密開宗』という近代化学の本を出版しており、その中で紹介されていた。
だが、電気の使い道が未だわからぬ時代のこと、実用化するものはほとんどいなかった。
ボルタ電池に必要となってくるのは希硫酸と亜鉛板と銅板。
これらをどこか調達すればいいのか。
「Brass・・・真鍮とか黄銅とかってさ、亜鉛と銅と錫を混ぜ合わせたものだよね?」
寛子は伊織に相談してみると、さすが帝国大学出身者、即答である。
「そうだ。だから、真鍮を使っている所に行けば手に入ると推測している」
「例えば?」
「キセルはどうだ?それから、仏具なども黄銅だったはずだ」
「単体で精錬している所ないのかなぁ。それともオランダから輸入してるのかな?」
「亜鉛は昇華しやすいから精錬は難しいと思うが、どうしているのだろうな・・・。とりあえず、情報は足で拾うしかなかろう」
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