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「よし!今日はここまで!レギュラーは来週決定するから心しておくように。最後まで精進しろよ」
『お疲れさまでした!』
コーチが最後に言った言葉に辺りはざわつく。残って練習を続けようとする者、素早く家に帰る者。…俺は、
「りゅーちゃん!」
呼ばれた方向を見ると声をかけて来たのはヒナだった。部活後にも関わらず、いつもと変わらない、普段通りの元気。その小柄な体格の中にどれだけの体力があるのだろうと思ったり。
「ん?何? どうかした?」
俺はどうやら、ヒナの方をずっと見ていたらしく、ヒナは不思議そうな目を向けて来る。
「…あ、いや。何でもない」
「そう? りゅーちゃん、もう帰るー?」
「…あぁ、帰ろうかな?」
「んじゃ一緒に帰ろ、なっちゃんも一緒に!」
ヒナの呼びかけにシュート練習していたなっちゃんは手を止めると振り返って。
「おー、片付けてくっからちょっと待って」
「りょーかーい」
ヒナはそう言いつつ、向いていた方向を唐突に変え、俺の方へと向き直る。
「...それで?」
笑顔で問いかけて来るヒナの質問の意味が分からずに疑問の表情を浮かべると、ヒナは若干困ったような表情をするがすぐに笑顔に戻って、
「"約束の日"。…もうすぐだよね?」
「…!」
そうか…あの日からもう5年か、
「また一緒に見るんでしょ? 2人で。」
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