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「流斗(リュウト)ー!! いつまで寝てるの!? 今日部活でしょ!」
「ーーーッ!?」
聞こえてきた声に一気に意識が覚醒する。がばと飛び起き、枕元の時計を見るといつもより20分もの遅れ。慌てて着替え、部屋から出る。階段を駆け降り、台所に見える後ろ姿に向かって、
「もっと早く起こしてくれても良くね!?」
発言。
くるりと向きを変えて呆れたように俺の方を見る母親。
「…起こしたわよ、あんたは何回呼びかけたら起きるわけ?かの童話のお姫様は、キス1つで目を覚ますって言うのに。私も明日から童話に倣…」
「わなくていいわ、倣うな」
どんな状況だよ、母親からの目覚めのキスって…そんなん受け付けて無いわ。その上童話と違って男女逆転してるし。
「…随分寝てたけど、いい夢でも見てたのかしらねー」
「…!」
唐突に話を変えるのは慣れた事だが、今日のは不意打ちだ。母親の言動が俺にとっては図星だったわけで。
「ま、そんな事より、早く家出ないとホントに遅刻するわよ」
母親が指差した時計は既に8時46分を差していた。
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