第1章

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桐野姫子は、警察庁を目指した。 同時に、司法試験も目指した。 だから、大学院まで勉強するつもりでいた。 東大には、支配者がいた。 東藤明彦法学部教授といった。 彼は、学生に上に立つとはどういうことなのかを話して聞かせた。 だが、それは完全に下の人間を見下した話し方だった。 だが、一人の男が、東藤教授を論破してみせた。 その男の名を、三原純一といった。 その後、東藤教授は首になり、東大に新たな人事がされることになった。 世界をよく知る凄い人物が、東大にやってきた。 その教授の名を、新川啓二といった。 俺は、思った。確かこの人は、オックスフォード大学を首席卒業した、望さんや堺刑事局長の幼なじみだったはずだ。 確か清美が、そんなことを話してくれた。 そんな時、最悪な情報が入ってきた。 堺知子さんが、癌で入院し、あと三ヶ月の命という最悪な話しだった。 清美、お前はどうする? おそらく、この東大の中にお前はいるはずだ。 俺に雄介に幸子・秀一・俊介・恵美・慶子は、すぐに病院に行った。 病室には、清美が知子さんについていた。 俺達七人は、驚いていた。 「清美!」 清美は笑顔で 「お母さん、良性のポリープだって。 医者が、見間違えたんだって。 ものが影になったりすると、そうなることもあるみたい」 全員ホットした。 俊介は 「まさか、変装しないで戻ってくるとはな」 「当たり前でしょ。お母さんの大事な時に、私がいないなんてあり得ない。 私の目的はあくまでも、理想を実現することにある。 お母さんを、ほうっておくことなんて私にはできない。 慶子、久しぶりだね」 慶子は涙を流しながら 「本当に久しぶりだね。 清美」 二人は、抱きしめあった。 「お祖父様は元気?」 「うん。清美に会いたがってるよ」 「ごめんね。お祖父様に伝えて。 必ず会いに行くって。 私の彼氏を、連れて行くってね。 お祖父様、心から喜んでくれると思う。 私が、頑張っていられるのは、お祖父様と出会えたからだって。 そう伝えてね」
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